「将来はITエンジニアを目指したい」と考え、IT専門学校への入学を考えている方も少なくはないでしょう。そこで気になるのが「IT専門学校ってちゃんと就職できるの？」という点。
IT専門学校は情報ビジネス分野の第一線で活躍するための知識や技術を学べる将来に向けての強い味方ですが、就活では、どれほど有利な状況を生み出してくれるのでしょうか。
今回は、そんなIT専門学校の就職率と主な就職先について解説を行っていきます。
IT専門学校とは
IT業界は成長性豊かな分野だけに、「将来はITエンジニアになりたい」と考えている方も多いことでしょう。
そこで強い味方になるのが「IT専門学校」です。
情報系の専門学校だけに、学問としてのITだけでなく、実際にITのプロフェッショナルとして活躍するための実践的な知識やスキルを学ぶことができるのが大きな特徴です。
それだけに、進学にあたってはIT専門学校を視野に入れている方も多いことでしょう。
そこで浮かび上がるのが「IT専門学校ってちゃんと就職できるの？」というギモンです。
せっかく社会で通用するITスキルを学ぶためにIT専門学校を選んだのに、それが就活で有利に働かないというのであれば本末転倒です。
IT専門学校の就職率
では、実際のIT専門学校における就職率はいかほどのものなのでしょうか。
文部科学省発表「令和２年３月 専門課程卒業者の就職状況調査」によれば、情報処理 ・ IT系専門学校（昼間部）卒業生の96.2%が関連職種への就職を果たしているとあります。
また、IT専門学校の中には「就職率100％」という実績をアピールする学校もあり、これらを総合すると、「IT専門学校は就職に有利」だと言えるのではないでしょうか。
※ 令和２年３月 専門課程卒業者の就職状況調査（文部科学省）より
IT専門学校の就職先は？
もう一つ気になるのが「IT専門学校の就職先」ではないでしょうか。
一口に「IT分野」と言っても、メーカーもあればシステムインテグレータやITベンダー、システム開発会社まで幅広く、ジャンルもビジネス系システム開発からゲームアプリ、セキュリティ、ロボット開発、医療向けシステム、WEBはじめ多岐にわたります。
IT専門学校の中には「セキュリティ学科」や「AI学科」、「DX学科」といった具合に専門性を追求するための学科を設けている学校もあれば、情報技術をトータルに学べる学校や、より高度な情報技術と大卒と同等の「高度専門士資格」を得られる学校もあり、自分が思い描くキャリアプランに合わせて最適な学校を選ぶことができます。
選択肢は豊富
では、そうした専門学校でプログラマーやシステムエンジニアになるために必要な技術を学び、専門課程を履修した先にはどのような就職先があるのでしょうか。
ここではIT専門学校から、どのような分野のIT企業を目指すことができるのかを紹介します。
●システムインテグレータ（SIer）
情報システムのコンサルティングから設計・構築、運用、その後の継続的なサポートまでをトータルに提供するのがシステムインテグレータです。コンサルテーションから開発、運用までと対応領域が広いため、自分のスキルアップに応じて、プログラマーからシステムエンジニア、プロジェクトリーダー・マネージャーと段階的にステップアップしていくことが可能です。
●ITベンダー
ソフトウェアやハードウェアなどの自社製品・サービスを開発・提供するのがITベンダーです。たとえばパソコンやスマートフォンのOSやアプリ、WEBサービス、IoT機器などのハードウェアなど自社で企画・開発したものを販売・提供するのがITベンダーです。
●システムインフラ会社
システムやアプリケーションといったソフトウェアが動くためのネットワーク/サーバーなどのシステム基盤を専門的に手掛ける会社です。システム基盤の設計・構築から運用までをトータルに手掛ける場合が多く、ネットワーク設計やハードウェア構築のスキルが求められます。
●通信事業者
通信キャリアなど、大規模な広域ネットワーク事業を手掛ける会社です。これらの企業は事業規模が大きく、個人や法人に対する回線の提供事業に加え、ネットワークにまつわるさまざまなサービスを自社で構築・運用する会社が多い傾向にあります。
●WEBデザイン会社
ホームページなどWEBデザインを手掛ける会社です。クライアント（顧客）とのヒアリングにもとづき仕様を決定の上、WEBサイトのデザインやWEBプログラミング言語を用いてページ制作を行うのが主な仕事です。クライアントの要望に応じて、WEBサイトに動的な演出や機能を実装するため、Javascriptなどのプログラミング言語を用いて“動き”を実現することもあり、WEBプログラマーのスキルが求められる場面もあります。
これらが主な就職先となります。
もちろんここに挙げた以外にも情報セキュリティを専門的に手掛ける会社や、産業用ロボットを手掛ける会社、企業など法人向けのIT環境を整えるキッティングサービス会社など、専門性を高めたいくつものIT企業が存在します。
IT専門学校によっては、これらいくつものIT企業と深い結びつきを持つ場合もあり、そうした学校ならば、より就職の選択肢を大きく広げることができます。
どんな職種を目指せるのか
こうした就職先に加え、もう一つ気になるのが「どんな職種を目指せるか」という点でしょう。
ここでは4年制の高度専門士情報技術コースと、2年制の情報技術コースを持つIT専門学校を例に、どのようなIT職種を目指せるのかを解説していくことにします。
●プログラマー
仕様書や設計書にもとづき、さまざまなプログラミング言語を用いてプログラミングを行い、求められる機能を実現していく仕事です。
●システムエンジニア
システム開発における基本的な設計やプログラマーに向けた詳細設計など、主に設計をメインとした業務を担当します。プログラマーの次のステップとなる仕事だと言えます。
●プロジェクトマネージャー
プロジェクトチーム全体の管理を行う仕事です。プロジェクト立ち上げにあたっての人員集めからスケジュール・予算・品質の管理、クライアントとの折衝・調整など、プロジェクト全体を取り仕切り、リードを行っていきます。
●AI・データアナリスト
データ分析を通じて、さまざまな課題解決に向けた方法を明確化していく仕事です。近年はさまざまな分野でAIやビッグデータ活用が進んでいることから、急速にニーズが高まっている仕事だと言えます。
●ネットワークエンジニア
企業を始めとした法人などを対象に大規模かつ高度なネットワーク環境を設計・構築していく仕事です。ネットワーク設計のほか、必要な機器類の選定、ネットワーク環境構築、その後の運用までトータルにクライアントや自社のネットワーク環境を支えていきます。
●セキュリティエンジニア
IT攻撃やコンピュータウイルスなど外部の脅威からネットワークやシステムを守る仕事です。分析を通じて自社やクライアント企業のIT環境の弱点を明確化し、それに対するセキュリティシステムを考え、構築していくことが主な仕事となります。
●WEBプログラマー
ECサイトやゲーム、SNSはじめ、さまざまなWEBサービスを実現する機能を実現する仕事です。HTMLやCSS、JavaScript、PHP、Java、Perlなど開発内容に応じて最適な言語を選択の上、プログラミングを行っていきます。
●WEBプロデューサー
WEBサイト制作における統括責任者として、チームを引っ張っていく仕事です。クライアントとのヒアリングを通じてどのようなWEBサイトを制作するのか、制作のために必要な人員の選定、スケジュールの決定などを行うのが主な仕事内容です。
●WEBディレクター
WEBサイト制作における制作の監督や指示、管理を行っていく仕事です。クライアントの要望にもとづき、WEBプログラマーやWEBデザイナーに的確な指示を行い、WEBサイト制作を進行していきます。
●WEBデザイナー
WEBサイトのデザインを担当する仕事です。WEBサイトで用いる背景やアイコンなどのグラフィックはもちろん、メニューやレイアウトなど使い勝手を左右するデザインなども行い、クライアントが要望するWEBサイトを実現していきます。
IT専門学校選びで重視すべき点
以上がIT専門学校で学ぶことで目指せる主な職種です。
IT専門学校の中には一般的な情報技術とWEB技術の両方を学べる学校もあり、そうした学校なら先に述べたような多彩な職種を目指すための基礎を身につけることが可能です。
就職のサポート体制が整っている専門学校がおすすめ
また、学科面に加え、もう一つ重要なのが「就職のサポート体制がしっかり整っているか」という点です。履歴書添削や就職相談・進路相談、面接指導といった就活に向けてのサポートはもちろん、自分が専攻するコースに応じた企業のピックアップなど求人紹介までを行ってくれる体制がある学校なら、より就活を有利に進めていくことができます。もし、専門学校選びで迷ったなら、こうした点を重視してみるのもいいでしょう。
まとめ
以上、「IT専門学校の就職先と就職率」というテーマで解説を行ってきました。
学問としてのITだけでなく、実際に社会でITのプロフェッショナルとして活躍するための実践的な知識やスキルを学ぶことができるのがIT専門学校の魅力。それだけに就活における選択肢も幅広く、一般的なシステム開発からシステムインフラ、セキュリティ、ネットワーク、WEBはじめさまざまなIT分野を目指すことができます。
もし、真剣に「将来はITのプロフェッショナルとしてキャリアを重ねていきたい」と考えているなら、きっとIT専門学校は強い味方となってくれることでしょう。
●IT専門学校とは
・IT専門学校の就職率は高い
●IT専門学校の就職先は？
・就職先は豊富
システムインテグレータ（SIer）／ITベンダー／システムインフラ会社／通信事業者／WEBデザイン会社など
・目指せる職種
プログラマー／システムエンジニア／プロジェクトマネージャー／AI・データアナリスト／ネットワークエンジニア／セキュリティエンジニア／WEBプログラマー／WEBプロデューサー／WEBディレクター／WEBデザイナーなど
●IT専門学校選びで重視すべき点
・就職のサポート体制が整っている専門学校がおすすめです。
