実はITスキルよりも重要? ヒューマン・スキルとアカデミック・スキル

IT業界は、AIやビッグデータなど新しい技術の活用、国を挙げてのDX推進など、今後さらに成長が期待される将来性豊かな産業分野であることから、「自分もITに関わる仕事がしたい」と思っていらっしゃる方も少なくはないでしょう。そこで重要となるのがヒューマン・スキルやアカデミック・スキルです。
「IT分野」と聞くと、ついついITスキルのみを思い浮かべがちですが、実はヒューマン・スキルやアカデミック・スキルといった技術以外のスキルが強く求められます。
今回は、そんな技術以外のスキルの重要性について解説を行っていきたいと思います。

これからのITエンジニアに求められる「人間としての力」

少子高齢化による労働人口不足をはじめとした社会的課題の解決や、企業における「働き方改革」の推進による業務効率化、人々の生活をよりよいものへと導くためのDX(デジタルトランスフォーメーション)推進などを背景に、今後、日本におけるIT活用はより一層加速していくことが確実視されています。
そんな成長分野だけに、ITエンジニアなど情報系分野を志そうと思っている方も多いことでしょう。
そうした方々に、ぜひ心に留めておいてもらいたいのが、「ヒューマン・スキル」や「アカデミック・スキル」といった「技術以外のスキルの重要性」です。

ICTやIoT、AIなど先進的な技術を用いる情報ビジネスですが、それを作るのも人間であれば、利用するのも人間です。それゆえ、実際の仕事の現場では技術スキルだけではなく、「人間力」や「学び向上する力」などといった人間的なスキルや姿勢がより重要となります。

どんなスキルが求められるのか

では、具体的にどのようなスキルが求められるのでしょうか。
ここでは、ITの現場において特に重要となる以下の2つのスキルを紹介します。

●ヒューマン・スキル
まず1つ目がヒューマン・スキルです。
ヒューマンスキルとは直訳すると「人間力」を意味する言葉で、ビジネスの現場における対人関係をよりよいものとしていくためのスキルのことを意味します。
具体的には人と円滑な関係を生み出すための「コミュニケーション能力」、相手の話を傾聴し、意図をしっかりキャッチするための「ヒアリング能力」、相手と自分双方が納得できるよう交渉を行う「ネゴシエーション能力」、自分の意見を的確に伝えるための「プレゼンテーション能力」、明確な目標を見据え、それを達成するために努力し続けられる「向上心」などといった人間としての能力だと言えます。
これらに加え、仲間を取りまとめるための「リーダーシップ」、チームを指導・育成するための「コーチング能力」など、リーダーやマネージャーといったチームを管理する立場に求められる能力もヒューマン・スキルの中に含まれます。

●アカデミック・スキルとは
2つ目が「アカデミック・スキル」です。
主には大学などの教育機関において、専門的な学習や研究に取り組むにあたっての能力を指す言葉ですが、仕事に取り組む上での姿勢としても重要だとされています。
具体的には「自ら考え」「調べ」「論ずる」といった学問や課題に取り組む姿勢であり、たとえばなにかを学ぼうと思った際、自分でテーマを設定し、そのために必要な資料や情報を入手の上、評価・分析を行う能力のほか、そこで得られた知見を結論としてまとめた上で、それを文章や口頭でプレゼンを行うまでの一連の能力を意味します。
つまり、誰かに言われるがままではなく、自分で「何を学ぶべきか」というテーマを設定の上、勉強のための方法を考え、そこで得られた結論を仲間に発表することで知識の共有につなげていくという、「学ぶための姿勢」であり、これが基本姿勢として備わることで、「真のITプロフェッショナル」としての成長を目指すことが可能となります。

「技術以外のスキル」が必要とされる場面・状況

では、仕事でこうした「技術以外のスキル」を必要とするのは、どのような場面なのでしょうか。
ここでは、主にITエンジニアの仕事を想定し、ヒューマン・スキルやアカデミック・スキルが必要とされる場面について解説を行っていくことにします。

ヒューマン・スキルが必要とされる場面

ITの現場において、ヒューマン・スキルが必要とされる場面は多々あります。
たとえばシステム開発を行う場合、クライアント(顧客)が望む機能や仕様をシステム要件として明確化する必要がありますが、そこで相手の要望をしっかり汲み取るには傾聴する姿勢、すなわち「ヒアリング能力」が重要となります。
この際、クライアントはITの知識に乏しい場合もあるので、技術的な話を噛み砕いて相手に伝える「コミュニケーション能力」や「プレゼンテーション能力」も重要です。

また、プロジェクト進行においては、メンバーを取りまとめた上で正しい人員配置や問題解決を図っていく必要があり、そうした場合において「リーダーシップ」や「コーチング能力」が強く求められます。
さらに予算や納期面などでクライアントと調整を行う必要なども多々あり、そうした場合においては「ネゴシエーション能力」が重要となります。

加えてリーダーやマネージャーともなれば、後輩エンジニアの指導・育成も重要な仕事となります。そうした場合においては「コーチング能力」も強く求められます。

アカデミック・スキルが必要とされる場面

ITエンジニアは常に学び・向上する姿勢が大切だと言われています。
なせならばITの世界は常に新しい技術や手法が生まれ、それまでの技術がすぐに陳腐化してしまうほど進化のスピードが速い世界だからです。
たとえば少し前までは映画の世界の技術だったAI(人工知能)はあっという間に実用化され、幅広い産業分野で活用されるようになりました。それにまつわる技術なども次々と新しいものが生まれるなど、ITの世界は極めて速いスピードで進化しています。
この他、クラウドコンピューティングやビッグデータ活用なども同様で、AIを含めたこれら最先端技術を駆使したDX(デジタルトランスフォーメーション)推進なども、国による主導のもとさまざまな分野で進められるようになりました。
こうした日進月歩の進化にともない、次々と生まれる新しいIT技術を習得し使いこなす上では、「自ら考え」「調べ」「論ずる」というアカデミック・スキルがとても重要です。決して現状にとどまることなく、アンテナを広く張って常に新しいIT技術のトレンドをキャッチし、それを自分のものにするためにどのように勉強すればいいかを考え、そのために必要な情報や資料を集め調べながら勉強を重ねていく――こうした姿勢があって、はじめてITの最先端技術を使いこなせる真のITエンジニアへと成長することができるのです。

ヒューマン・スキルやアカデミック・スキルを意識することを心がけよう

こうしたヒューマン・スキルやアカデミック・スキルは、ITスキルのように高度な専門知識を必要としない分、未経験の方でも比較的身につけやすいスキルだと言えます。
もちろん学生の方など社会人経験のない方でも、ちょっとした意識改革を行うことでこうしたスキルを身につけることが可能です。

これから本気でITエンジニアを志そうと思っている方は、まずはこうしたヒューマン・スキルやアカデミック・スキルを意識しながら人と接してみたり、自分を高めていくための自主的な勉強習慣などを身につけていってみてはいかがでしょうか。

情報系の専門学校で明確な目標を抱きながら学ぶのも手

「本気で ITのプロフェッショナルを目指したい」と思っている方は、情報系の専門学校で専門知識を学びつつ、ヒューマン・スキルやアカデミック・スキルを身につけるの一つの手です。
「ITエンジニア」という目標が明確だからこそ、「何を学ぶべきか」「どうやって勉強するか」といったアカデミック・スキルを意識しやすく、同時に志を共にする仲間も多いことから、ヒューマン・スキルも併せて磨きやすい環境が整っています。ぜひ、情報系または情報ビジネス系の専門学校もなども視野入れ、将来を考えてみるといいでしょう。

まとめ

以上、ヒューマン・スキルとアカデミック・スキルというテーマで解説を行ってきました。

少子高齢化やそれに起因する労働人口の減少、政府主導で進められている「働き方改革」や「DX推進」など国家的な取り組みを一例に、今後、日本におけるIT活用はより一層加速していくことは間違いなく、それを支えるITエンジニアに対するニーズもさらに高まっていくことでしょう。

そうした本格的なIT時代の中では、高度な専門知識や技術力といったスキルだけでなく、プロジェクトを円滑に進め、クライアントとよりよい関係を生み出していくためのヒューマン・スキルや、エンジニアとしての市場価値を高めていくための学ぶ姿勢、すなわちアカデミック・スキルが強く求められていきます。

「本気でITのプロフェッショナルを目指したい」と思っている方は、ぜひ、こうした「技術以外のスキル」にも目を向け、将来のキャリアについて考えてみるといいでしょう。

最後に、今回の記事を簡単にまとめてみることにします。

●これからのITエンジニアに求められる「人間としての力」
・求められるスキルその1:ヒューマン・スキル
・求められるスキルその2:アカデミック・スキルとは

●「技術以外のスキル」が必要とされる場面・状況
・ヒューマン・スキルが必要とされる場面
 ⇒クライアントとの折衝・調整やプロジェクトの取りまとめ、後輩エンジニアの指導・育成など
・アカデミック・スキルが必要とされる場面
 ⇒ITの世界の技術の進化は速い。それに追随し、エンジニアとしての価値を向上させるためには「自ら考え」「調べ」「論ずる」という姿勢が大切

●ヒューマン・スキルやアカデミック・スキルを意識することを心がける
・ヒューマン・スキルやアカデミック・スキルは専門知識を必要としないだけに、比較的身につけやすい
・情報系の専門学校で明確な目標を抱きながら学ぶのも手