これからのコンピュータ技術者に求められる能力とは?

IT関連の記事や、ITに関連した求人情報で「コンピュータ技術者」という言葉を目にすることも多いでしょう。では、この「コンピュータ技術者」とはどのような仕事なのでしょうか。
ここでは、そんなコンピュータ技術者にはどのような職種があるのかを解説するとともに、これからのコンピュータ技術者に求められるスキルについても解説を行っていきます。

コンピュータ技術者とは

私たちが普段使っているスマホアプリやインターネットのECサイト、銀行のキャッシュディスペンサーをはじめとしたさまざまなITシステム。
これを実現する上で欠かせない役割を担っているのがコンピュータ技術者です。
しかし一口に「コンピュータ技術者」と言ってもその職種はさまざま。
ということで、まずはコンピュータ技術者にはどのような職種があるのか説明していくことにします。

コンピュータ技術者の職種

代表的なコンピューター技術者の職種には以下のようなものがあります。

●プログラマー(PG)
システムエンジニア(SE)が作成した仕様書にしたがい、プログラミングを行っていくのがPGの仕事です。単にプログラムを組むだけではなく、プログラムを組むにあたっての詳細設計を行ったり、自分が作成したプログラムが仕様通りに動作するかのテストなども行います。

●システムエンジニア(SE)
プロジェクトマネージャー(PM)やプロジェクトリーダー(PL)が顧客との要件定義を通じて決定した定義書にもとづき、システムの基本設計を行うのがSEの仕事です。「データ処理部」「演算部」「制御部分」「ユーザーインタフェース部」といった具合にシステムを機能単位に分けながら設計を行い、それを元にプログラマー(PG)へと担当部位を振り分けていきます。

●プロジェクトリーダー(PL)
プロジェクトマネージャー(PM)とともにユーザーとの要件定義にもとづき決定した仕様の策定や基本設計を行い、さらにプロジェクトチームのメンバーを取りまとめながらプロジェクトが円滑に進行するようリードを行っていくのがPLの役割です。メンバーの技術的なサポートを行いつつ、PMやユーザーからの意向をシステムエンジニア(SE)と共有し、システムに落とし込んでいくことも仕事の一つです。

●プロジェクトマネージャー(PM)
実際にシステムを使うユーザーとの要件定義を通じて仕様の策定を行うほか、プロジェクトの企画やそれにもとづく予算や工数の割り出し、チーム編成など、プロジェクトの基盤を整えていくのがPMの仕事です。さらにプロジェクトのスケジュール管理、品質管理などといったマネジメントも併せて担いながらプロジェクトを計画通りに進行させ、納品までをリードしていきます。

●運用エンジニア
システム開発ではなく、既存のシステムを安定的に稼働させていくのが運用エンジニアの仕事です。日々のシステム監視とアラート(警告)にもとづいた不具合対応のほか、システムを長きにわたって安定稼働させるための保守作業なども担当します。

●ネットワークエンジニア
ネットワークの構築や維持運用を通じて、安定的なネットワーク環境を実現することがネットワークエンジニアの仕事です。ネットワーク設計から必要なネットワーク機器の選定、サーバー等の設定なども併せて行います。

●インフラエンジニア
ネットワークに加え、サーバーやセキュリティなど、システムが動く基盤を構築、運用するのがインフラエンジニアの仕事です。サーバーやネットワークの設計・構築、セキュリティ対策、無停電電源装置の選定など、システムを安定的に稼働させるためのシステム基盤を整えていきます。

●データベースエンジニア
大規模なデータを扱うようなシステムに欠かせないデータベースの構築や運用を行うのがデータベースエンジニアの仕事です。データベース設計やチューニングなどを行い、システム開発や運用エンジニアと連携しながらシステム構築や運用を進めていきます。

コンピュータ技術者に求められるスキルとは

IT業界は日進月歩で新しい技術が生まれるような進化の速い世界です。
よって、それを支えるコンピューター技術者も、現状にとどまることなく、常に最新の技術動向をキャッチし、それを踏まえてスキルアップを目指していく姿勢が大切です。
ここでは、そんなコンピューター技術者に求められるスキルについて解説を行っていきます。

どんなスキルを磨くべきか

●プログラミングスキル
一般的に、開発系のコンピューター技術者はプログラマー(PG)からスタートする場合が多いため、プログラミングスキルを磨くことが確かなスキルアップへとつながります。
この際、単にプログラミング言語のスキルを学ぶのではなく、そのプログラミング言語で組んだコードを実行するためのフレームワークや、統合開発環境についても知識も併せて磨くことが重要です。

●新たな開発手法のスキル
近年のシステム開発では、「より少ない工数で迅速に」というニーズが高まっており、従来よりのウオーターフォール型の開発手法から、開発スピードや柔軟なモディファイを行える点に特徴がある「アジャイル開発」や「スクラム開発」といった開発手法を採用するプロジェクトが増えつつあります。よって、こうした新しい開発手法スキルを身につけることが、コンピュータ技術者としての市場価値向上に結びついていきます。

●コンサルティングスキル
コンピュータ技術者としてキャリアを考える場合、まずはプログラマー(PG)からスタートし、システムエンジニア(SE)、プロジェクトリーダー(PL)、プロジェクトマネージャー(PM)へとステップアップしていくのが一般的です。
その過程で担当フェーズもプログラミングやテストといった実装工程から、基本設計、仕様策定、要検定義と上流工程の割合が多くなっていきます。PMやPLともなればユーザーと接する機会も増え、ヒアリングを通じて業務や経営上の課題をキャッチし、それをもとにシステム要件へと落とし込んでいくことが求められるため、コンサルティングスキルを磨くことが確実なキャリアアップへとつながります。

●マネジメントスキル
プロジェクトマネージャー(PM)やプロジェクトリーダー(PL)の場合は、プロジェクトの進行や品質、予算、人員などの管理を行う場面が多くなるため、マネジメントスキルを磨くことも重要です。特にPMはその名が示すとおり、業務の主体が管理業務となるので、一定レベル以上のマネジメントスキルがなければ仕事そのものが成立しません。それだけに、システムエンジニア(SE)の段階からマネジメントを意識することを心がけ、PLやPMのマネジメント術を盗みつつ、向上を目指す姿勢が重要となります。

IT環境の変化によりコンピュータ技術者に求められるスキルも変化

時代の変化とともにITを取り巻く環境も急速に変化しており、それに応じてコンピューター技術者に求められるスキルも変化しています。

たとえば従来のシステム開発や運用では、主にPCを使うユーザーを想定すればよかったのに対し、現在ではスマートフォンやタブレット等の普及率がPCを上回っているため、これらスマートデバイスを使用するユーザーも考慮した設計や開発が求められるようになっています。
また、開発するシステムも、従来のデスクトップアプリケーション形式から、Webシステムやスマートデバイス向けのアプリ、クラウドシステム、さらには仮想通貨などのプラットフォームとなるブロックチェーン上で動作するアプリなど多様化しており、これらのプラットフォームに対応する知識や開発スキルも欠かせないものとなりつつあります。

一方でコンピューター技術者の人材不足は年々進んでおり、独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)がまとめた「IT人材白書」(2020年版)では、 「IT人材の“量”に対する過不足感」というアンケート項目において、「不足している」と回答する56%に達するなど、IT分野においても人材不足が深刻な問題となりつつあります。それだけに今後、コンピューター技術者に対する期待はより一層大きなものとなっていくことが予想され、目まぐるしく変化していくIT環境に柔軟に対応する姿勢やスキルが重要なものとなっていくことでしょう。

<関連記事>43万人の人材不足!?「2023年の崖」とは

まとめ

以上、コンピュータ技術者について解説を行ってきました。
最後に、今回の記事をかんたんにまとめてみましょう。

●コンピューター技術者には主に以下のような職種がある。
・プログラマ(PG)
・システムエンジニア(SE)
・プロジェクトリーダー(PL)
・プロジェクトマネージャー(PM)
・運用エンジニア
・ネットワークエンジニア
・インフラエンジニア
・データベースエンジニア
など。

●コンピューター技術者に求められるスキルは以下のようなものがある。
・プログラミングスキル
・新たな開発手法のスキル(アジャイル開発やスクラム開発など)
・コンサルティングスキル
・マネジメントスキル

●ITを取り巻く環境の変化に柔軟に対応できる姿勢やスキルの重要性が今後より一層高まっていく。

本記事をきっかけに、「コンピュータ技術者を目指してみよう」「コンピュータ技術者としてのキャリアに磨きをかけてみよう」と思ってくだされば幸いです。


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