日本の電子産業の未来と、これから求められる人材

“電子立国”として、世界の半導体産業をリードするほどの勢を誇ったかつての日本の電子産業。
1980年代終盤には半導体の世界シェア5割以上を占めるなど海外メーカーを圧倒したものの、その後海外勢の台頭などによって衰退し、現在では世界半導体シェアの1割程度にまで落ち込んでしまいました。
そんな日本の電子産業衰退の理由を探るとともに、これから求められるIT人材について、解説を行っていくことにします。

日本の電子産業はなぜ衰退したか?

かつて、半導体をはじめとした日本の電子産業は世界をリードする勢いを誇っていました。
1980年代後半には半導体の世界シェアにおいて5割以上を占め、それまで長らくトップを走っていた米国を抜いて世界一に躍り出るなど、電子産業は日本の代名詞であり、日本の成長を先頭に立って牽引する“稼ぎ頭”でした。
しかし1990年代以降、徐々にシェアを落とし始め、2019年にはついに世界シェア1割にまでその地位が低下してしまうことになります。

衰退の理由

では、なぜ日本の電子産業はここまで衰退してしまったのでしょうか。
ここでは、経済産業省が2021年6月にまとめた『半導体戦略(概略)』を参考に、日本の半導体産業衰退の理由を解説していきます。

日米半導体協定による貿易規制強化
1986年7月、日米政府間で締結された「日米半導体協定」により、日本の半導体への貿易規制が強化され、それによって日本の電子産業の国際的な競争力に陰りが生じることになります。

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デジタル投資の遅れ
「デジタル産業化の遅れ」も衰退の要因の一つです。21世紀に入り、世界PCやスマートフォン、インターネット、データセンターの普及など世界でデジタル市場が急速に成長する中、日本国内ではそうしたニーズに対応するデジタル投資が遅れ、結果として他国に大きく遅れをとることになってしまいました。

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国際的な協力関係を構築できなかった
研究・開発から設計、素材開発、製造まで、すべてを自前で行おうとする“日の丸自前主義”も衰退の要因の一つです。
そうした古い考えに縛られた結果、世界の研究機関や共同事業団体などとオープンな協力関係を構築できず、日本だけが取り残される結果になってしまいました。

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海外勢の台頭
バブル経済崩壊による平成の長期不況により、国内企業の多くが将来に向けた投資が行えず、それによって国内企業のビジネスが縮小していきました。
一方で台湾や韓国、中国は、国が積極的に補助金や減税等の措置を講じ、長期的視野で半導体産業に投資を行った結果、国際的な競争力を身につけ、それによって日本のシェアも徐々に低下していくようになりました。

半導体企業世界トップ10に日本メーカーが1社も存在しない現実

これらの要因により、1990年代以降、日本の電子産業は国際的なシェアの低下に歯止めがかからなくなり、2021年の世界半導体売上高ランキングでは、ついに世界の半導体企業トップ10に日本のメーカーが1社も存在しないという、憂慮すべき結果となってしまいました。
もちろん日本はこうした状況に手をこまねいているだけではなく、経済産業省主導で「IoT用半導体生産基盤の緊急強化」「日米連携による次世代半導体技術基盤の強化」「グローバル連携による将来技術基盤の強化」といった基本戦略を打ち立て、その実施に向けた検討を行っていますが、これらはいずれも長期的視野での取り組みであり、すぐにこの状況が改善されるとは言えません。

これから元められる人材

そんな低迷する日本の電子産業は、本当に将来性に乏しく、働く魅力はないのでしょうか。
答えは「ノー」です。
電子産業の中でも、人々の生活に密接に関わる社会インフラに関連した分野や、省エネ社会の実現に向けた新エネルギー分野はじめ、いくつもの将来に富む分野はあります。また、IT分野へと視野を広げてみれば、AIやWEB、モバイル分野はじめ、今後、大きな成長が期待される分野は豊富にあります。
ここでは、そんな将来性に富み、これからの時代に求められる人材について解説を行っていくことにします。

これからの時代で強い人材(電気電子系)

●電気電子(新エネルギー分野)
いま、世界では太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーの普及が急速に進んでいます。
これは日本も同様で、2030年度までに太陽光・風力・地熱・水力・バイオマスなどによる再生可能エネルギーの電源比率を22〜24%程度にまで高めていくことを目標にしています。
そうした中で新エネルギーに対応できる技術者に対するニーズは大きく高まっていくことでしょう。

●電気電子(電気工事)
電気工事技術者も今後安定したニーズが予想される人材だと言えます。
電気は私たちの生活や社会機能維持においてもっとも重要なインフラであり、それを守り、支える電気工事技術者は電気がある限り必要とされる仕事だと言えます。
この仕事は資格が重要であり、「電気主任技術者」「電気工事士」をはじめとした電気工事に関連した資格を取得することで、就職における強力な“武器”を手に入れることができます。

●組み込み技術者
スマートフォンなどの身近な製品をはじめ、車の自動運転やロボットなど、次世代のモノづくりに対応できる組み込み技術者も将来性のある人材領域だと言えます。
「IoT」や「ロボット」などの最先端技術を支える上で組み込みシステム開発は欠かせないものであり、今後も一定以上のニーズが予想されます。

これからの時代で強い人材(IT系)

●AI技術者
AI(人工知能)は、今後、製造業や農業、金融業、医療・福祉はじめ、あらゆる分野で活用が進められていく技術であり、それに対応できるAI技術者へのニーズも大きく高まっていくことでしょう。
ディープラーニング・機械学習、IoTセンサーによるデータ収集、ビッグデータ分析などのAIシステムに欠かせない技術をトータルに身につけた技術者は、さまざまな先端分野で求められ、デジタル改革の中心となっていくことでしょう。

●WEB・モバイル系エンジニア
スマートフォン・タブレット端末の急速な普及により、Webやモバイル業界は劇的とも言える成長を続けており、当然、それに対応するエンジニアへのニーズも高まっています。
スマートフォンのアプリ開発やWEBサービス開発、それらが動くシステム基盤の構築、スマートウオッチなどのウェアラブル端末のアプリやサービス開発など、さまざまなニーズがあることから、WEB・モバイル系エンジニアもまた、将来性に富んだ人材領域だと言えます。

●ネットワークセキュリティ
インターネットが完全に私たちの生活や社会機能維持のために欠かせないものとなった今、その安全性を守るセキュリティエンジニアもニーズの高まる人材領域の一つだと言えます。
SNSや電子メール等の個人情報漏洩はもちろん、インターネットバンキングや企業のデータ漏洩など、インターネットを用いる上ではさまざまなリスクが考えられ、それに対する方法を考え、実施することで安全なネットワーク環境を実現するセキュリティエンジニアへの需要は途絶えることはないでしょう。

電子技術の専門学校で専門的な知識やスキルを習得する

こうした専門的な技術を習得する上で強い味方となるのが電子技術の専門学校です。
たとえば電気・電子系学科やAI学科、WEB・モバイル学科、ネットワーク・セキュリティ学科など多彩な専攻コースがあるような学校ならば、ここで挙げたような専門的な技術領域のスキルを身につけることが可能であることはもちろん、電気工事に関連した資格なども授業の一環として取得することができます。
それによって就職の選択肢も大きく広がり、将来性のある分野で成長を目指すことができるようになります。

もし、本気で将来にわたって必要とされ続ける人材を目指したいのなら、電子技術の専門学校という選択肢も検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

以上、「日本の電子産業の未来」というテーマで解説を行ってきました。
1980年代は世界の半導体シェアトップを誇ったものの、その後、ざまざまな要因で衰退してしまった日本の電子産業。しかしそんな中でも新エネルギー分野や社会インフラを守る電気工事分野、IoTおよびロボット分野、AI分野、WEB・モバイル分野、ネットワークセキュリティ分野など将来性豊かな技術領域はいくつもあります。
こうした専門的な技術を身につけるには、電子技術の専門学校で学ぶのが一番。必要な知識やスキル習得もちろん、電気工事系の学科であれば授業の一環で資格も取得できるため、就職に向けた大きな武器を手に入れることができます。
ぜひ、本記事を参考に、「これからの時代に求められる人材」としての将来を考えてみてはいかがでしょうか。

最後に、今回の記事をかんたんにまとめてみることにします。

●日本の電子産業はなぜ衰退したか?
・日米半導体協定による貿易規制強化
・デジタル投資の遅れ
・国際的な協力関係を構築できなかった
・海外勢の台頭

●これから元められる人材
・電気電子(新エネルギー分野)
・電気電子(電気工事)
・組み込み技術者
・AI技術者
・WEB・モバイル系エンジニア
・ネットワークセキュリティエンジニア

●専門的な技術は電子技術の専門学校で学ぶのも手


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